殺害

隠し持ったナイフを 心臓に突き立てるのと 見せ付ける様にアースを 全身に吹きかけるのと 命を奪う行為である事に 変わりは無いのに 前者は裁かれて 後者は称賛を浴びる 殺しても良いだの悪いだの 勝手な判断ばかり 殺す事が害になるのだとばかり思っていた のに 害になるのは殺される事らしい 皆生きて居たいが為に 殺害を繰り返してる 知らないとは誰にも言わせない 世は常に 殺戮の舞台であり続ける事を

不安定

砕いた訳でもなくただ消えて欲しいと願った 窓硝子が消えたあの日から 部屋はさながら青空教室 開放されて晴れ晴れしてもいいハズなのに 何故だか空気はどんより澱んでいる 閉じ込められていたんじゃなかった 本当は守られていた 外に見える電線にとまったカラスに阿呆と詰られ ムキになり外を見渡せば 隣の建物も前の道路も電柱も何もかもが紙幣で出来ていて 命あるもの全てはゴミの掃け溜めだった これまで気にもしなかった あの曇り硝子の窓があった時には 考えても思ってもなかった 渦巻く恐怖を感じなかった 見えないものが見えることと 見えるものが見えないこと あって当然のものがなくなることと 無くて有り得ないものがあることとでは どれが一番恐ろしく どれが最も怖いのだろう 気狂いで 戻らない窓硝子を修復しようと窓べりに乗り出し 乗り出し過ぎて落ちて死んだ

無関心

それが何だと言うのだろう それがどうしたと言うのだろう だから? で? どうでもいいよ そんな事か 興味が無い 忘れてしまった 別に何でも 取るに足らない 小さな些細な些細なそんな事が ねぇ どうしてこんなにも? 大きく幾つも幾つも積み重なって こっちを見て嗤ってる 無関心に対して無関心になりたい 気にし出すと止めど無い 無関心など知りたくない

形あるもの

お気に入りのコップは割れてしまう 誰かが いつかは壊れるというけれど いつも何故好きで仕方の無いものばかり? 見えなくて形あるものもいつか壊れるの それは 「愛」だったり「情」だったりする ザーザーと空白の音ばかりが響く この無人の路上で 本音を紛れさせて吐く煙草の紫煙に 目を細めてばかり 大好きな何もかもに置いて行かれ いつかは自分も置いていく側に回る どんなに泣き喚いても 誰もがその声に気付かないフリをして 通り過ぎなければならないやるせなさ 形だけでも在るしかない今 壊さないと創造が生まれない矛盾 全てが少しずつ壊れてなくなる日はいつやってくる? その日を心待ちにしてる 世の終焉は きっと何より美しい

コミュニケイト

まるで詩を書くように ありのままを告げるけど 別にロマンチストな訳じゃない 素直と言うのは複雑で 言葉では言い表せない 格好つけても格好悪くて 伝わらなくて 歯痒くてもどかしくて悔しくて 言いたい事を全部言っても 黙りこくられるとお手上げで だけど 届け 届け 意思よ疎通しろ 汚い所も暗い所も全てを曝して 何も無いよりずっといい ずっといい