獣飼い

飼い慣らす手段を 時には 飼い殺す手段を 何十も 何百も 持ち合わせなければ 存在すら危ぶまれる 縄が 轡が 綻び解けた時 爪を牙を磨いで尖らせた後 貴方を手に掛けるでしょう 正気に戻った時は既に遅し 狂乱し自害する他道は無し 絶えましょう 絶えましょう 心閉ざし 押さえつけ 騙しましょう ありのままで生き抜く術を 未だ我は知らぬ

余りに理不尽な出来事に、噛み付いても 魂に囚われたこの肉体ではもう何をどうする事も出来ない 余りの無謀を目の前に突きつけられ、睨んでも 血と肉に塗れたこの精神は崩壊を来すまで待つしか能が無い 繋ぐ鎖の千切れた音を、聞いた後 どちらかの柵を、蹴り抜けたら もう生きたくない、 そう吼えてみても、いいですか

遠吠え

不協和音が脳裏に突き刺さった まるで周囲から空気が消えた様だ 苦しくて苦しくて 耐え切れなくなって叫んだ 喉奥から血を迸らせて 鋭く刺さるそれを抜こうともがく 抜けないむしろ 深く刺さって喰い込んで犯される 「助けてくれ!」 己の身を嘆き遠吠え一つ その声は何処にも届かない

弱肉強食

弱者を理解したいと願いながら 肉を狩り掻っ捌く矛盾を 強いて生きる為だと言葉にする位なら 食われて死んだ方が良い

縄張り

馴れ合いにウンザリ 傷の舐め合いなんか趣味じゃねぇのに 昔にこんなことがあんなことがそうかお前もか実は俺もなんだ だからどうしたってーの 生まれて来る時も死ぬ時も人は独りきりだって所詮そんなモンなんだって 教えてくれたの誰だっけ 慰め合いにコリゴリ 同情し合うなんてまっぴらごめんだぜ あの時どうのこうの云々そうかお前はそうだったのか実は俺は だからどうなるっつーの 話し合って癒される域を遥かに超えた会話が日常茶飯てソレ超辛くないか 訊ねてくれるの誰だろな 自嘲しとけよ自傷しとけよ自虐しとけよ俺もそうしとくから 寄るな触るな喋り掛けるな ここから出て行け